うつなどの精神疾患になりやすい方というのは、頑張りすぎてしまう性格が影響するとよくと言われます。
一般的には「無理をしないこと」「しっかり休みながら活動すること」が推奨されています。
しかし、そういった表面的な方法では解決できない「根深さ」があると感じます。
これは、僕自身が精神疾患を経験していることもあり、その実体験から「うつの闇」に焦点を当てて話していきたいと思います。
「無理をしない」「頑張りすぎない」では、解決しない訳
うつ病になりやすい人には、「頑張り屋」が多いと聞きます。
ネットやSNSでも、自重したいのについ無理をしてしまい、自分を追い込んで辛くなってしまうというケースをよく耳にします。
仕事や家事などで、自分を必要以上に追い込み、疲弊して、発病してしまう。
実際、自分もよく「無理をしすぎないように」と多く言われてきましたが、頑張らずにはいられない状況でした。
自分の実体験的にも、
「頑張りすぎないように」と言われてもそれができない、根深い理由が本人にはあると思うのです。
「無理を続けないと認められない環境」に長く居たから
頑張りすぎる理由はズバリ、
「無理を続けないと認められない環境に長く居たから」だと思うのです。
人間の認知(=捉え方)は環境によって形作られていきます。
例えば、自分が尊重される環境にいれば、自由に発言をして良いと思えるはずです。
自分に危害を加える人間がいない環境では、自分も開放的になって、創造性を発揮することもできます。
しかし、自分に敵意や侮蔑の目が向けられている環境ではどうでしょうか。
「自分の境遇に共感してくれる人はいない」「救いを求めても助けてはもらえない」と考え始めてしまうと思うのです。
さらに、周りからこんな事を言われ続けたのではないでしょうか。
- 「へこたれずに頑張れ」
- 「結果を出して見返すしかない」
- 「この程度で折れる人間は、社会で必要とされない」
大体、こういうことは本当の挫折を知らない大人が言ってきます。
自分自身は、運よく精神疾患を経験していなかったり、
自身の成功のほとんどが自分の頑張りの結果と思い込み、周りにも努力を強要したがる勘違い人間たち。
勉強不足と言ってやりたいです。
少し脱線しましたが、
こういう環境では、自分を追い込む姿勢は形作られてしまいます。
自分を追い込む「努力依存症」の闇
悪質な環境に長くいればいるほど、自分は無理を続けないと、ひどい扱いを受けるに違いない。
だから、
自分の尊厳を守るために、イジメられる可能性を少しでも減らすために、追い込んで無理を続けてしまうのです。
問題は基本的に、子供時代の「環境」にある
これはどういう事かというと、
子供時代に、家庭環境や学校・部活環境などに問題があった場合に、過剰努力の心理が生まれやすいと思うのです。
例えばこういった具合です。
- 家庭で充分に愛情を受けていない
(虐待はもちろんのこと、親が自分の悩みに共感してくれない、自分に対する態度が侮辱的、など) - 学校や部活でいじめに遭っている
- 先生も助けてくれない
「周りを見返すことでしか、自尊心を守れない」思い込み
思春期になれば「恥」の感情も強くなっていきます。
周りに助けを求めることが、恥だと勘違いし、甘えと誤認してしまう。
特に日本社会は、最近は良くなってきましたが、
自分の問題は自力で解決できないのは、「甘え」「情けない」という圧力がかかります。
知識が発展途上な子供にとっては、それが全てになってしまうのです。
子供時代は狭い世界です。
学校と家の往復で、もしその環境に「救い」がなければ、自分で頑張るしかないと思ってしまう。
つまり、自分の尊厳が保障されない前提で頑張るしかない。状況になってしまいやすいのです。
自分の尊厳が踏み躙られる恐怖というのは、大人でも計り知れない。
ましてや子供の場合、そこから脱するのもはるかに難しい。
「逃げる」ことの有効性は学校の授業で教えてくれません。
追い詰められた時、「精神論」が登場してしまいます。
問題から逃げずに、己の忍耐で必死に頑張って、周りを見返すしかなくなってしまうのです。
他人に傷つけられるなら、自分で自分を追い込んだ方がマシ
加えて、周りへの罪悪感も拍車をかけます。
つまり、弱い立場になってしまうと、学校や部活でいじめやハラスメントに遭い、でも自分が悪いと思ってしまう。
そうするうちに、
「無能な自分は周りに尽くさなくてはならない」「自分を追い込まないことが周りに失礼」とまで思ってしまいます。
これも頑張りすぎる理由です。
これは自分の実体験で得た感覚ですが、
自尊心を破壊されるより、自分を追い込んで無理を続ける方が遥かに楽です。
狂ったように頑張ってしまうのも、心の防御反応。
自分が「後悔」したくないから、無理をする
「無理を続ける」ことで、一種の安心が得られます。
なぜなら、
これだけ追い込んでいれば、辛い現実を突きつけられ時の覚悟ができるから。
余力を残して努力をしたところで、自尊心が破壊されることがあれば、とてつもなく後悔する。
「もっと頑張っていれば、こんな情けない思いをしなくて済んだのに」
これなのです。
これを実体験で学習してしまっているのです。
健康を害しても、頑張りまくって自尊心が保てるなら、それで良い。
うつ病などの精神疾患になってしまう方は、そのぐらい強烈な闇を抱えているのです。
私はこの状態を努力依存症と定義しています。
努力依存症にかかるほど、無理をし続けないと不安で仕方なくなる。
自分を追い込むのをやめると、自尊心が脅威に晒される。
だから、頑張り続けなくてはいけないのです。
ここまで来てしまうと、深刻な状態になってしまいます。
当然、長期的に無理を続ければ心身を壊してしまう。
しかし分かっていても、無理をやめられないだけの理由があるのです。
そこで、これまでに説明した根本的な原因を踏まえた上で、考えていることを次回以降話したいと思います。